〈juppo〉前回登場した空蟬との関係が発展するかに見えて、傍にいた別の女と発展してしまったという話です。その軒端荻(のきばのおぎ)は、空蟬からすると結婚した男の娘ですが、歳は同じくらいらしく、一緒に碁なんて売ってるところを見るとなさぬ仲ながら関係は良好なんでしょう。
碁は空蟬が勝ちました。「セキ」とは囲碁用語なんですね。そこに打つと自分の石も取られてしまうという、手詰まりの場所を指すようです。私には囲碁の知識は皆無ですが、平安時代の女性たちも用いていた用語のようです。
空蟬は光源氏を想って悶々としながらも、いざ近くに来るとやっぱり逃げ出してしまいます。その時置き去りにした小袿(こうちき)を、光源氏は後生大事に持ち帰って、描いてないですが抱きしめて寝たりしています。小袿は十二単の上の方に着る着物で、普通の袿(うちき)より丈が短いものです。空蟬って、要するにセミの抜け殻のことですよね。この小袿を、抜け殻ですねと光源氏が詠んだことから彼女を空蟬と呼ぶのでした。
一方、うっかり事故みたいに関係を結んでしまった軒端荻も、出番はこれだけではないようです。
「空蟬」は短くて今回だけで終了です。次回から「夕顔」です。