2023年12月31日

春望

予告通り紅白を見ながら更新しています。リクエストにお応えします。漢詩です。杜甫です。
〈白文〉
國破山河在
城春草木深
感時花濺淚
恨別鳥驚心
烽火連三月
家書抵萬金
白頭掻更短
渾欲不勝簪
〈書き下し文〉
國破れて 山河在り
城春にして 草木深し
時に感じては 花にも涙を濺(そそ)ぎ
別れを恨んでは 鳥にも心を驚かす
烽火(ほうか) 三月に連なり
家書 万金に抵(あた)る
白頭 掻(か)けば更(さら)に短く
渾(すべ)て簪(しん)に勝(た)えざらんと欲す
shunbo.jpeg
〈juppo〉杜甫は前回の王翰と同世代の詩人ですが、こちらの方が断然有名人ですね。「詩聖」と呼ばれています。これはテストに出がちです。
この「春望」という五言律詩も有名ですよね。特に一、二句くらいは。

安禄山の乱というのがあって、家族を避難させたあと、敵軍に捕まって軟禁された翌年に詠んだ詩だそうです。この時46歳とか。画像検索するとすっかりお爺さんの仙人みたいな人が描かれているので、私もそのテイストで描いたんですけど、案外若いじゃないですか。1300年前では十分老人な年だったのでしょうか。

戦の後の、瓦解した都の姿を嘆いている詩ですね。そんな、破壊された地にも春は来るんだなぁ、とつい涙してしまう心境ですよね。涙したり心を驚かしているのは花と鳥なんでは?という読み方もできるそうですが、やっぱり杜甫の心情かなと思います。

「烽火三月」の三月も、暦の三月か三ヶ月ということかと、ふた通り読めるそうです。
46歳で白髪頭の毛量を心配する杜甫。苦労したんでしょうね〜。

さてこの冬、私は10年ぶりに塾の先生をしています。正確にいうとほぼ12年ぶりです。冬期講習に懐かしく携わっています。
今年は、今までしていなかったことをいろいろした年でした。総括するとあまり良い年ではなかったのですが、そのいろいろの結果が来年形になるといいなぁ、と思って年を越したいと思います。
あと2時間足らずで新年です。今年もけん玉が成功して、よかったですね。


皆さんの2024年も、とびきり良い年でありますように。
posted by juppo at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月25日

涼州詩

今年もあと一週間くらいになりました。あの頃の未来にいる私たちです。リクエストにお応えします。漢詩です。
〈白文〉
葡萄美酒夜光杯
欲飮琵琶馬上催
醉臥沙場君莫笑
古來征戰幾人囘
〈書き下し文〉
葡萄(ぶどう)の美酒 夜光の杯
飲まんと欲すれば 琵琶 馬上に催(うなが)す
酔うて沙場に臥(ふ)すとも 君 笑うこと莫(な)かれ
古来 征戦 幾人(いくにん)か回(かえ)る
ryoshushi.jpeg
〈juppo〉詠んだのは王翰(おうかん)という人です。8世紀初期の頃の、唐の詩人です。お酒が好きだったようです。このころ、シルクロードによって西方の文化や事物が唐にもたらされたそうで、葡萄酒とか夜光杯とか琵琶はそういうよその国から来た、エキゾチックなアイテムとして詠まれているのだとか。
夜光杯(やこうはい)は普通名詞で、そういう種類の杯があるんですね。玉(ぎょく)で作られていて、夜、月光に透かすと光が見えたのでこう呼ばれるそうです。漫画ではグラスのように描いてしまいましたが、ガラス製ではないようです。
涼州は地名です。

一人で酒を飲んでいるように描いていますが、だんだん戦の話になっていくので、戦場で夜、酒盛りでもしているのかもしれません。馬上で琵琶を鳴らしたのが男なのか女なのか迷いましたが、「催(うなが)す」が出発を促すとも読めるけれども、琵琶の音は出陣を促すにはふさわしくないそうですし、琵琶を弾くのは現地の人なのかもしれないと考えて、女の人にしました。

砂漠で倒れるまで飲んでしまうあたり、ちょっとヤケになっている感じもします。四句目に至って戦で亡くなった兵士に想いを馳せ、あぁ戦は嫌だなぁ、という気持ちを吐露しているようです。そんなことから近代中国では厭戦詩として唐詩選に採用されなかった歴史もあるそうです。

そんな話をこの本で読みました。
風呂では詠んでいません。

次回も漢詩です。紅白の頃に。
posted by juppo at 01:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月01日

春暁

4月になってしまいました。新学期もよろしくお願いします。
リクエストにお応えします。孟浩然の漢詩『春暁』です。新たに「漢詩」のカテゴリを増やしました。
<本文>
春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少

<書き下し文>
春眠暁を覚えず
処処(しょしょ)啼鳥(ていちょう)を聞く
夜来(やらい)風雨の声
花落つること知る多少
shungyo.jpg
3月はブログサービスへの愚痴だけで終わってしまいました。塾から引き上げてきた荷物はまだ家中に積まれています。全く何も前進しないまま春になってしまいましたが、少しずつ片づけていこうと思っています。

孟浩然は中国の詩人です。孟浩然といえば、李白の『黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る』という詩を読んだことがあるので、李白の知り合いだなというくらいの知識はありました。それだけです。
これは五言絶句ですねくらいのことは言えるのですが、解説というほどのことはそれ以上できそうにないので、各自で調べてくださいね。

春は眠くてしょうがないよね、という意味の詩のようですが、春は思いがけず夜明けが早いなとか、春はいつまで寝てても気持ちいいよね、なんて読んでも良いと思います。

なんといっても気持ちがいいのは二度寝ですが、この漫画のように、もう目は覚めているんだけど布団の中でうだうだ考えながらまだ起きない、という時間は(余裕のある限り)至福の時ですよね〜。
そういう時に考える今日の予定は、全て何もかも上手くいくように思えるものですよね。できることなら「あ〜、あれをしなきゃいけないんだった。」などと気の進まない予定は思い出したくない時間でもあります。

皆さんも気持ちの良い春眠を、是非。


posted by juppo at 03:33| Comment(21) | TrackBack(0) | 漢詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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