2019年05月07日

虫愛づる姫君A

令和最初の投稿です!「れいわ」はまだ「令和」とすぐに変換できませんね。続きです!
〈本文〉
いと白(しろ)らかに笑みつつ、この虫どもを朝夕(あしたゆふべ)に愛し給ふ。人々怖(お)ぢわびて逃ぐれば、その御方は、いとあやしくなむののしりける。かく怖づる人をば、「けしからず、はうぞくなり」とて、いと眉黒にてなむにらみ給ひけるに、いとどここちなむまどひける。
 親たちは、「いとあやしく、さまことにおはするこそ」とおぼしけれど、「おぼしとりたることぞあらむや。あやしきことぞと思ひて、聞こゆる事は、深くさいらへ給へば、いとぞかしこきや」と、これをもいとはづかしとおぼしたり。「さはありとも音聞きあやしや。人はみめをかしき事をこそこのむなれ。むくつけげなるかはむしを興ずなると、世の人の聞かむも、いとあやし」と聞こえ給へば、「くるしからず。よろづの事どもをたづねて、末(すゑ)をみればこそ事は故(ゆゑ)あれ。いとをさなこことなり。かはむしの蝶(てふ)とはなるなり。」そのさまのなり出(い)づるを、取り出でて見せ給へり。
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〈juppo〉超大型連休はいかがでしたか、皆さん。私は「香川照之の昆虫すごいぜ!6時間目 アリ」を見ながら、録画保存しようと思ってて失敗しました。このお話の姫とカマキリ先生は同じ人種ですよね。姫は気味の悪い虫を愛するだけでなく、ちゃんと観察して蝶の羽化の様子なんて見てるんですもんね。そういう生命の神秘みたいなことには確かに興味をそそられますが、地面に這いつくばってアリを探したり、手のひらに毛虫を横たわらせるのは、私は真っ平御免です。好きな人はどうぞ、と止めはしませんが。

 そんな姫に対して、どのご家庭でもそうであるように親たちは世間体を気にしていますね。そしてどのご家庭でも大抵そうであるように、激しく反論されるのが怖いので娘に何も言えないと。貴族の家庭の姫なのに、ここまで強い性格なのが面白いですよね。意志の強いだけの女性なら他の作品にも出てきますが、言動がやたら強い。激しい。
 今後の姫の行動にも要注目です。
posted by juppo at 01:17| Comment(3) | 堤中納言物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月30日

虫愛づる姫君@

平成最後の日、皆さんいかがお過ごしでしょうか。リクエストにお応えします。『堤中納言物語』です。
〈本文〉
 蝶 (てふ)めづる姫君の住み給ふかたはらに、按察使(あぜち)の大納言の御むすめ、心にくくなべてならぬさまに、親たちかしづき給ふ事かぎりなし。この姫君ののたまふ事、「人々の花蝶やとめづるこそ、はかなくあやしけれ。人はまことあり、本地(ほんち)たづねたるこそ、心ばへをかしけれ」とて、よろづの虫のおそろしげなるをとり集めて、これが成らむさまを見むとて、さまざまなる籠箱(こばこ)どもに入れさせ給ふ。中にも、「かはむしの心ふかきさましたるこそ心にくけれ」とて、明暮(あけくれ)は耳はさみをして、手のうらにそへふせてまボり給ふ。若き人々は、怖(お)ぢまどひければ、男(を)の童(わらは)の物怖ぢせず、いふかひなきを召しよせて、箱の虫どもを取らせ、名を問ひ聞き、いま新しきには、名をつけて興(きよう)じ給ふ。「人はすべてつくろふところあるはわろし」とて、眉(まゆ)さらに抜き給はず、歯ぐろめさらにうるさし、きたなし、とてつけ給はず、
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〈juppo〉平成最後の作品は、平成・令和元号またぎの長編です。長いです。最後まで描ききれるか自信がありません。いや、描きますけど。
 『堤中納言物語』といえば以前「貝合せ」てのを描きましたが、あれも長かったです。可愛い女の子たちのお話でした。今回は、可愛いというよりちょっと変わったお姫様のお話です。

 蝶より気味の悪い虫が好き、要するに這いずり系の虫だと思うんですけど、女の子らしい「可愛い」「キレイな」ものを好きになるなんてつまらない!んですって。そういう趣味は変なのかもしれませんが、姫には主義主張があって、外見より本質を探求することに意義があるのだ、てことを言いたいようです。真っ当なご意見です。ご意見はごもっともですが、やっぱり毛虫なんかはキモチ悪いですよね〜。
 外で、自然の中で偶然毛虫を見かけるのは良いですけど、突然家の中でムカデが這っているのに遭遇したりするのは避けたいものです。これからの季節、梅雨時にでもなると出てくるんですよ。ヤですね〜。

 物語の始まりに「蝶めづる姫君」が出ていますが、この姫は特に登場人物の一人というわけではありません。近所に住んでる誰かではなく、一般の姫のことを言ってるだけみたいです。こっちが普通でしょ?それなのに・・・という形で主役の姫の性格を際立たせてるんですね。
 一方、「耳はさみ」「眉」「歯ぐろめ」などについては、姫の外見が普通じゃないことを言っています。当時の女性は耳が隠れる髪型が普通、13、4歳で眉を抜いて描くのが普通、お歯黒をするのが普通、だったそうです。全部「やなこった」な姫なんですね。
 お歯黒って、結婚した女性がしてたのでは、と疑問に思われるかもしれませんが、そうなったのはこの後の時代のようですね。このころは皆してたんですねー。男の子がしてた時代もあったそうです。

 ギリギリ平成最終日に更新できてよかったです。続きは令和の時代になってから、なるべく早めにお届けしたいです。
 
posted by juppo at 18:33| Comment(2) | 堤中納言物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月02日

LINEスタンプを作りました

ご無沙汰していてすみません。

何もしてないワケではなく、次の更新の準備もしてるんですけど、合間に地味な作業を重ね、この度「高校古文こういう話」のLINEスタンプを作りました。

LINEを利用している方へ限定のお知らせになってしまい恐縮です。
私も今まで利用してなかったんですけど、販売するために始めました。

ご興味のある方は、こちらからご覧ください。

https://line.me/S/sticker/7171192

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posted by juppo at 11:16| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月03日

かぐや姫の難題A

続きです。
〈本文〉
かぐや姫「石つくりの皇子には、仏の御石の鉢といふ物あり。それをとりて給へ」と言ふ。「くらもちの皇子には、東の海に蓬莱(ほうらい)といふ山あるなり。それに銀(しろがね)を根とし、金(こがね)を茎とし、白き玉を実として立てる木あり。それを一枝をりて給はらん」と言ふ。「今ひとりには、唐土(もろこし)にある火鼠(ひねずみ)のかはぎぬを給へ。大伴の大納言には、龍(たつ)の頸(くび)に五色に光る玉あり。それをとりて給へ。いそのかみの中納言には、燕(つばくらめ)のもたる子安のかひひとつとりて給へ」と言ふ。翁、「かたき事どもにこそあなれ。この国にある物にもあらず。かくかたき事をば、いかに申さむ」と言ふ。かぐや姫、「何かかたからん」と言へば、翁、「とまれかくまれ申さむ」とて、出でて、「かくなむ聞こゆるやうに見せ給へ」と言へば、御こたち、上達部(かんだちべ)聞きて、「おいらかに、あたりよりだにな歩きそとやはのたまはぬ」と言ひて、うんじて皆帰りぬ。
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〈juppo〉「かぐや姫の難題は何だい」とお待ちかねの皆様、お待たせいたしました。と言っても、この辺の展開を含めて『竹取物語』はとても有名なお話ですから、何か燃えてるものとか光ってるものとか、とにかく手に入れられっこないものをかぐや姫がリクエストするんだったかなぁ、なんて予想された方も多いことかと思います。
 
 そのリクエストが、今回の主題です。誰に何を頼むか、かぐや姫が厳選したとは思えないです。一人だけ名指しもされない人がいるからです。こういう時に、「もう一人いたよねー、誰だっけ、まぁその人にー」程度に指名されるのは哀しいものがあります。と、個人的に同情したので安倍御主人さんの名前も入れておきました。

 火鼠はネズミの一種だと思いますが、どんな姿か私も想像できないので、こんな絵になっています。ピ○チュウは火鼠ではないと思いますけどね。

 所望品の数々を聞いただけで皇子たちはうんざりして立ち去ってしまいます。それほど、手に入れられるとは思えないものなんですね。
 それでも何とか手に入れようとするヤツラなんですが、この先を描くのはまた少しお待ちいいただきます。今回の『竹取物語』はとりあえずここまでです。次に何を描くかはまだ決めていません。
posted by juppo at 23:55| Comment(0) | 竹取物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月20日

かぐや姫の難題@

 とっても久しぶりに『竹取物語』です。久しぶりなのでタイトルを変えました。リクエストはいただいていません。
〈本文〉
 日暮るるほど、例の集まりぬ。あるいは笛を吹き、あるいは歌をうたひ、あるいは唱歌(しやうが)をし、あるいはうそぶき、扇を鳴らしなどするに、翁出でていはく、「かたじけなく、きたなげなる所に、年月をへて物し給ふ事、極まりたるかしこまり」と申す。「『翁の命、今日明日とも知らぬを、かくのたまふ君達にも、よく思ひ定めて仕(つか)うまつれ』と申すもことわりなり。『いづれも劣り優りおはしまさねば、御心ざしの程は見ゆべし。仕うまつらん事は、それになむ定むべき』と言へば、これよき事なり。人の御恨みもあるまじ」と言ふ。五人の人々も「よき事なり」と言へば、翁入りて言ふ。
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〈juppo〉飛蚊症を発症して早2週間。しばらくは眼の中にミジンコを飼っているような視界でしたが、だんだんそれも薄らいで、ミジンコの亡霊を見ているようになってきています。この亡霊ともお別れする日が早く来るといいな、と思いながらこれを書いています。

 さて、相当な年月を放置していた『竹取物語』の続きです。放置している間に、このお話の直前の部分まで昨年出版された『高校古文まだまだこういう話』に収録されてしまいました。そうなるとその続きもいつまでも放置しているわけにいかないな〜と昨年から考えていて、いくつかリクエスト作品に着手してから、やっと2回分だけご用意いたしましたのでお届けします。

 タイトルからも分かる通り、ここからはあの、かぐや姫からの無理難題ミッションのお話です。
前回、翁に説得されて五人の候補の中から結婚相手を選ぶ条件を出していたかぐや姫でしたが、その内容がこれから明かされるんですね。
 続きを放置していた私に都合の良いことに、今回は回想シーンが入っています。私の都合で入れたのではないんですよ。貴公子たちにかぐや姫からの伝言を伝える翁が、その伝言を承ったシーンをそのまま語っているわけです。本文の中のカギカッコが二重になってるのはそのためです。

 「唱歌」は今でいう子供のための歌のことではなく、笛や琴などの譜を吟ずることなんですね。「うそぶく」は「口笛」と訳してありますが、低い声で歌や詩を吟ずるという意味もあるようです。

 久しぶりに描く求婚ジャー5の面々など、思い出せずに自分の本をめくりながら描きました。出版されて本当にありがたいです。ところが、見直していたら間違いも見つけてしまい、とりあえずブログ上ではこっそり直しました。何が間違いだったかは、秘密です。

 次回はいよいよかぐや姫からのお題の数々です。
posted by juppo at 03:08| Comment(0) | 竹取物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする