2024年03月29日

源氏物語ダイジェスト9夕顔B

「夕顔」最終回です。
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〈juppo〉人が一人亡くなるのは大ごとです。それを秘密にしておかなければならないのはさらに重大事ですね。おぼっちゃま育ちの光源氏は体調を崩してしまったようです。短く終わった恋の思い出は尽きないようで、もっとああすればこうすればと後悔に苛まれるのも、お約束です。
 そんな中でも頭中将にはどう対応しようかという点は冷静に判断していますね。こと女性のこととなると、考えが高速で駆け巡るのが光源氏です。モテ男に必須な才能と言えるでしょう。
 夕顔に小さい娘がいると知って、その子を手元に置きたい、と咄嗟に反応しているのもまた、生まれ持った才能、いや本能ですね。
 
 前回さらっと登場した伊予介(いよのすけ)は、「帚木」で説明だけしてありましたが、空蟬の旦那です。伊予の国(愛媛県)のお役人です。国に帰ったということは、伊予の国に行ってしまったということで、空蟬も連れて行ってしまったので、空蟬は光源氏にとって片想いで終わった女性なんですね。
 奥さんもいてあちこちの女に手を出して、ルンルンだった光源氏の「青春の蹉跌」です。

 次回は「若紫」です。ああ、てことはもうあの人を見つけて恋に落ちる光源氏なのだな、と思われる方も多いかと。そう思わない方も、そういう物語です。

 昨年の秋から塾の先生に復帰した私は、春期講習に通う日々です。春休みにまで勉強する生徒の皆さんには頭が下がります。私も頑張ります。
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2024年03月27日

源氏物語ダイジェスト8夕顔A

はい、畳み掛けるように更新します。続きです。
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〈juppo〉光源氏の乳兄弟・惟光くんは調査員としても優秀でありつつ段取りも整えてくれる良いマネージャーです。つつ、自分もちゃっかり夕顔宅の女房か誰かの元に通っているんです。そりゃー内情に詳しくもなるというもの。

 その夕顔さんですが、登場した途端にお亡くなりになります。ダイジェストにすると1ページだけの登場です。短い。
 死因が不明です。寂しいと死んじゃうウサギ並みに、雰囲気で死んだような感じですよね。夢に出てきた、夕顔を捕まえようとしていた美女にとり殺された、という解釈が正解でしょうか。この、夢の女性はあの六条御息所の生霊?という解釈が多いらしいのですが、そうでもないとか、はっきりしません。はっきり書いてないですからね。
 短い間に、光源氏は夕顔にぞっこんになったらしいのですが、それで盛り上がったせいなのか、なぜか急にどこか違う家に行って夜を明かしたり、身分をとことん隠して楽しんだりと、そんなことがロマンチックな17歳、なんですかね。
 しかし最悪な事態に至ってみると、ロマンチックな演出は裏目に出ます。人に知られたらどうしようなんて、急に現実的に冷静に考えているのがやけに常識人的です。こういうことって、ないようであると思います。

 なんだか大変なことになってきたところで、以下次号。
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2024年03月25日

源氏物語ダイジェスト7夕顔@

大変ご無沙汰いたしました。続きです。
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〈juppo〉前回の「空蟬」から2ヶ月も空いてしまいました。「夕顔」は3回でお届けします。もう全部描いたので、畳み掛けるように更新します。

 お話は「空蟬」から続いていて、光源氏はまだ17歳です。このころから六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)と付き合っています。長い付き合いになるのですが、いまいち陰が薄いのですね。そのせいで後々、ああなったりこうなったりな活躍(?)につながっていくのかと。

 タイトルの「夕顔」はこの章で中心となる女性のことですが、家の前に夕顔が咲いていて、その後彼女が歌にも詠んだことから呼び名になっています。その歌については紹介しません。

 惟光(これみつ)も初登場です。光源氏の乳母の息子です。随身としてあちこちお供するのみならず、光源氏の女性問題のために、骨身を惜しまず貢献します。まずは気になった女の素性を調べることから。その過程で、夕顔が「帚木」で頭中将が語っていた「ほっといたら消えた」女と同一人物らしいぞ、ということが発覚するんですね。世間は狭いです。このことも後々、いろいろな問題になって浮上し続けます。とりあえず、誰かの元カノだからと手を出すのを躊躇する光源氏では、ないというお話です。
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2024年02月12日

源氏物語ダイジェスト6空蟬

先週は関東地方にも大雪警報が出たと思ったら、今週中に夏日のような陽気になるとか。三寒四温にもほどがある2月です。今回は「空蟬」です。
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〈juppo〉前回登場した空蟬との関係が発展するかに見えて、傍にいた別の女と発展してしまったという話です。その軒端荻(のきばのおぎ)は、空蟬からすると結婚した男の娘ですが、歳は同じくらいらしく、一緒に碁なんて売ってるところを見るとなさぬ仲ながら関係は良好なんでしょう。
碁は空蟬が勝ちました。「セキ」とは囲碁用語なんですね。そこに打つと自分の石も取られてしまうという、手詰まりの場所を指すようです。私には囲碁の知識は皆無ですが、平安時代の女性たちも用いていた用語のようです。

 空蟬は光源氏を想って悶々としながらも、いざ近くに来るとやっぱり逃げ出してしまいます。その時置き去りにした小袿(こうちき)を、光源氏は後生大事に持ち帰って、描いてないですが抱きしめて寝たりしています。小袿は十二単の上の方に着る着物で、普通の袿(うちき)より丈が短いものです。空蟬って、要するにセミの抜け殻のことですよね。この小袿を、抜け殻ですねと光源氏が詠んだことから彼女を空蟬と呼ぶのでした。
 一方、うっかり事故みたいに関係を結んでしまった軒端荻も、出番はこれだけではないようです。

 「空蟬」は短くて今回だけで終了です。次回から「夕顔」です。
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2024年02月05日

源氏物語ダイジェスト5帚木B

「帚木」の続きです。雨夜の品定めは終了しています。
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〈juppo〉帚木(ははきぎ)は女性の名前ではないんです。何のことだろうと思っていた謎が今回解けました。もともと信濃国の伝説の森にあった木だそうで、梢が箒(ほうき)のようになっていて遠くからは見えるのに近くに来ると見えなくなるんですって。近くに寄れば寄るほど避けられてしまう空蟬(うつせみ)がその帚木のようだと、歌に詠む光源氏だったのですね。ダイジェストなのでいちいち歌を紹介する気はさらさらないんですけど、今回はタイトル回収のために挿入しました。

 冒頭、方角が悪いのでよその家にわざわざ行ったのは、いわゆる方違え(かたたがえ)というもので、陰陽道によって神様のいる場所を示されたら、その方向にいてはいけないとか、そっちを通ってはいけないとか、いろいろ禁忌な事態が生じるらしいです。いつもいる宮中からなら大丈夫な方角だったのが、今日は左大臣家にいるのでこの方角を避けねばならない、とたまたま良い方角に住んでいた紀伊守(きのかみ)の家に突然お邪魔したのです。その家にたまたま女や子供が集まっていて、その中にいた空蟬に当然のようにアタックする光源氏です。光源氏って女に近づくために奇策を講じがちなんですけど、今回は女の弟の声真似をして油断させて会話を成り立たせています。いきなり器用さを披露している場面ですね。
 ところが空蟬には断固として拒否されます。本心は光源氏に惹かれないでもないようですが、親の後ろ盾もない、しかも夫がいる今の自分には叶わぬ夢、と諦めている節もあります。

 まだ始まったばかりの女性遍歴の端緒で、青春の蹉跌を味わい、とりあえず弟の小君で満足する光源氏17歳、でありました。
次回は「空蟬」をお届けします。ということは、この空蟬が引き続きお目当ての女です。この章の続き、と言えないこともないです。
posted by juppo at 01:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする