2022年02月03日

虎穴に入らずんば虎子を得ずA

続きです。今回はトラが出てきますよ。
〈本文〉
安能久事筆研間乎、左右皆笑之、超曰、小子安知壯士志哉、其後行詣相者、曰、祭酒、布衣諸生耳、而當封侯萬里之外、超問其狀、相者指曰、生燕頷虎頸、飛而食肉、此萬里侯相也、久之顕宗問固卿弟安在、固對爲官冩書、受直以養老母、
〈書き下し文〉
安(いずく)んぞ能く久しく筆研(ひつけん)の間に事(つと)めん乎(や)」。左右皆な之を笑う。超曰わく、「小子安んぞ壮士の志を知らん哉(や)」。其の後、行きて相者に詣(いた)るに、曰わく、「祭酒は布衣の諸生なる耳(のみ)。而れども当(まさ)に侯に万里の外に封ぜられるべし」。超、其の状を問う。相者指さして曰わく、「生は燕の頷(あご)に虎の頸(くび)、飛びて肉を食らわん。此れ万里侯の相なり」。之を久しくして顕宗は固(こ)に問う、「卿(そち)の弟は安くにか在流」。固対(こた)うらく、「官の為に書を写し、直(あたい)を受けて以て老母を養う」。
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〈juppo〉本文と書き下し文を写すだけで1時間くらい漢字と格闘しています。お気づきのことと思いますが、いや別に気づかなくても良いのですが、本文の方には旧字体が多用されています。その字を探すのが大変であるのもさることながら、そもそもMacに入ってない字もあるので新字体でごまかしているところもあります。どの字がそうかということはいちいち言いませんけども。
一字ずつ探していると果てしないので、音読みでなく訓読みで入力して送り仮名を消したり、適当な熟語で変換していらない文字を消したりもしています。「顕宗」の「顕」は「顕微鏡」から一文字残したり。
 その顕宗というのは、後漢の皇帝とか。班超はつましく筆耕で糊口をしのいでいますが、お兄さんの固は帝と問答するほどの位にいるんですね。ここで班超の様子を聞いた皇帝が・・・、以下次号です。

「祭酒」は「先生」と訳しましたが、「祭酒」とは祭事などでは1番偉い人からお酒を飲むので、尊敬する人のことを指す語になってるんですって。

 班超を先生と呼ぶ易者から、人相にトラとツバメが見える、などと判じられています。トラが食べている肉、どう見てもステーキ肉300グラムくらいのものにしか見えないかもしれませんが、草食動物の屍肉です。そう思って見てくださいね!

 今日は節分でした。恵方巻きを作って食べました。もう春ですね。続きは近日中に。


posted by juppo at 23:50| Comment(0) | 漢文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月31日

虎穴に入らずんば虎子を得ず@

皆さま、明けましておめでとうございます。って、もう1月も終わりじゃーないですか。リクエストにお応えします。漢文です。
〈本文〉
班超字仲升、扶風平陵人、徐令彪之少子也、爲人有志、不修細節、然内孝謹、居家常執勤苦、不恥勞辱、有口辯、而渉獵書傳、永平五年、兄固被召詣校書郎、超輿母隨至洛陽、家貧、常爲官傭書以供養、久勞苦、嘗輟業投筆歎曰、大丈夫無它志略、猶當效傅介子張騫立功異域、以取封侯、
〈書き下し文〉
 班超(はんちよう)、字(あざな)は仲升(ちゆうしよう)、扶風平陵の人、徐の令彪(ひよう)の少(すえ)の子なり。人と為(な)り志有って細節を修めず。然れども内は孝謹にして、家に居りて常に勤苦を執り、労辱を恥とせず。口弁有って而も書伝を渉猟(しようりよう)す。永平五年、兄の固(こ)召されて校書郎に詣亜(いた)るや、超は母と与(とも)に随いて洛陽に至る。家貧しく、常に官の為に傭書して以て供養し、久しく労苦す。嘗つて業を輟(や)め筆を投じて歎じて曰わく、「大丈夫他の志略無きも、猶お当(まさ)に傳介子(ふかいし)、張騫(ちようけん)に效(なら)いて功を異域に立て、以て封侯を 取るべし。
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〈juppo〉気づいたら1月も終わりのみならず、気づいたら前回の記事から丸2ヶ月経ってしまっていました。今回のリクエストをいついただいたのかも記憶の彼方なんですが、入手した原文が長くて訳がなくて、なんとか絵を描くまでにそれくらいの時間がかかりました。しかも8ページもあります。当分続きます。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ですが、とりあえずまだ虎は出てきません。ああ、そうです、寅年にふさわしい作品ですね。

 この故事成語と班超という人は有名で、このお話も有名な逸話なんですね。今のところ班超さんは地道にデスクワークに勤しんでいますが、そのうち戦で手柄を立てるんです。ネタバレです。
いろいろ難しい漢字や言葉が出てきますが、漫画の内容でご理解いただければ幸いと、それ以上の説明は控えます。傳介子、張騫についても、それぞれ名将らしいと言うに留めます。班超さんが言ってるような人たちのようです。

 ところで、本日1月31日は当ブログの開設記念日です。2007年の1月31日に初投稿だったので、今日で15歳になりました。15年も続けられたというより、15年も経ってしまったのかぁ、との思いが強いです。何ごとも、やめない限り続けられるんですよ。
 漫画以外の記事も含めて、投稿数は400を超えています。それでもまだまだ、作品化していない古文漢文はいくらでもあるので、これからも続けられる限り漫画にしていきます。リクエストもお待ちします。16年目も引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
posted by juppo at 00:26| Comment(0) | 漢文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月01日

あてなるもの

久しぶりにオールカラーです。短いです。「枕草子」四十段です。リクエストにお応えしています。
〈本文〉
 あてなるもの 薄色(うすいろ)に白襲(しらがさね)の汗衫(かざみ)。かりのこ。削(けづ)り氷(ひ)に甘葛(あまづら)入れて、あたらしき鋺(かなまり)に入れたる。水晶(すいさう)の数珠(ずず)。藤(ふぢ)の花。梅花に雪の降りかかりたる。いみじううつくしきちごのいちごなど食ひたる。
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〈juppo〉形容動詞「あてなり」には「高貴な」とか「身分が高い」という意味があります。「竹取物語」で、かぐや姫目指して「あてなるも賤しきも」男たちが押しかけてきた場面などもありました。
 「上品な」という意味もあり、ここでは身分がどうとかいうよりそこに品があって素敵♡なものを集めたようです。

 1コマ目、「薄色」とだけ言って何色かはっきり言ってなく、辞書にはいくつか色の候補が出てるんですけど、「薄紫」という訳があったのでそうしました。薄紫の「袙」というのは、表に着るものと肌着の間に着る着物のことだそうです。「汗衫」は「汗」という字が入っている通り、夏の衣類のようです。童女が着るものだとか。本当はもっと裾が長いです。多分。
 ところで「かざみ」とタイプしても「風見」としか変換されないので、一字ずつ変換しました。「衫」は「さん」で変換されます。豆知識。
 「かりのこ」はガンや鴨やアヒルの卵で、確かに鴨の卵って綺麗な色なんですね。

 そして3コマ目、平安時代にもかき氷があった、というのが今回のハイライトです。リクエストは書籍出版元の時岡氏から来ましたが、このエピソードがイチ押しだったようです。甘葛は今でいうどの植物のことか、はっきりしてないみたいです。あまちゃづるのことかも、な説もあるようです。この甘葛かき氷を再現しようと試みるプロジェクトが各地で展開されている模様です。

 可愛いとかキレイとか、うっとりするものはいろいろありますが、「品がある!」と見えるもの限定で並べているのが面白いですよね。どれも確かに「品がある」ものかどうかは、個人の感想ですよね、と言いたいところですが。

 次回は漢文から。の予定です。
posted by juppo at 21:58| Comment(2) | 枕草子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月23日

持経者叡実効験の事(ぢきやうしやえいじつかうげんのこと)B

最終回です。今回もマスク着用でお送りします。
〈本文〉
念珠(ねんず)を押し摺(す)りてそばへ寄り来たる程、もともたのもし。御頸(くび)に手を入れて、我が膝を枕にせさせ申して、寿量品(じゆりやうほん)を打ち出(いだ)して読む声はいと貴し。さばかり貴き事もありけりと覚ゆ。少しはがれて高声(かうしやう)に誦(よ)む声、まことにあはれなり。持経者、目より大(おほ)きなる涙をはらはらと落して泣く事限りなし。その時覚めて、御心地いとさはやかに、残りなくよくなり給ひぬ。かへすがへす後世まで契(ちぎ)りて帰り給日ぬ。それよりぞ有験(うげん)の名は高く広まりけるとか。
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〈juppo〉少し前に夕方の「純ちゃんの応援歌」再放送で、鶴瓶さんがマラリアの発作に襲われて「キニーネ買うてきて。キニーネ飲んだら治んねん」とか何とか言うシーンがありました。キニーネは19世紀に発見されたマラリアの特効薬で、副作用があるために代替薬に取って代わられて現代では用いられていないようですが、当然このお話の時代にもそのような特効薬はなく、こうしてお経を読んでもらって病気を治していたと・・・病は気からとも言いますし・・・。現代の感覚で読むと「まさかぁー」な話ですけど。坊さん自身、自分の風邪は医者に相談してますしね。

 ともかくありがたいお経ですっかり気分爽快になって帰ることになりました。「後世まで契りて」は何を契ったのか、はっきり言ってないですね。普通、古文で後の世までなどと言う時は、生まれ変わっても愛し合おうねみたいな意味ですが、ここでは末代まで信仰するからね、くらいの意味でしょうか。

 坊さんが「御頸に手を入れて、我が膝を枕にせさせ申して」いるところは、実際何をどうしているのかよくわかりませんでした。「頸」は「首」とも「頭」とも訳されるようですし、膝ってこんなふうに膝枕してるってこと?と、不安なまま作画しています。

 病が癒えたのにマスクを外してもらうのを忘れました。すっかりマスク社会に慣れきってしまったせいだと思います。その方が自然というか。持経者もいない21世紀でも、コロナは終息に向かっていきそうですが、マスクのない日常はいつ戻ってくるでしょう。

 次回は多分短いのを。近日中に。できれば。
posted by juppo at 23:04| Comment(0) | 宇治拾遺物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月13日

持経者叡実効験の事(ぢきやうしやえいじつかうげんのこと)A

秋ですねぇ。続きです。
〈本文〉
しかれども、「ただ上人(しやうにん)を見奉らん。只今まかり帰る事かなひ侍らじ」とありければ、「さらばはや入り給へ」とて、坊の蔀(しとみ)おろし立てたるを取りて、新しき筵(むしろ)敷きて、「入り給へ」と申しければ、入り給ひぬ。
 持経者沐浴(もくよく)して、とばかりありて出であひぬ。長(たけ)高き僧の、痩(や)せさらぼひて、見るに貴(たふと)げなり。僧申すやう、「風重く侍るに、医師(くすし)の申すに随(したが)ひて、蒜(ひる)を食ひて候(さぶら)ふなり。それにかやうに御座(おはしまし)候へば、いかでかはとて参り候ふなり。法華経は浄不浄をきらはぬ経にてましませば、読み奉らん。何条事か候はん」とて、
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〈juppo〉ここしばらく秋らしい陽気が続いて過ごしやすかったのですが、来週からは寒くなるらしいですね。嫌ですねー。

 さて、前回「にんにくを食べてるから」と会い渋っていた坊さんが出て来ます。にんにくを食べてるのは、医者に勧められたからだと。医学的ににんにく推奨なんですね。ところがにんにくとかねぎなど、匂いの強い野菜を食べることは、僧侶的には不浄とされるのだそうです。でも法華経は浄不浄を嫌わないお経だから大丈夫!ということだそうです。ここでの法華経は、「如来寿量品」とかいう、延命息災に効き目のあるお経なんだとか。

 坊さんが口臭を気にしているようなので、これまたマスクで登場していただきました。
 マスクといえば、「マスク頭痛」なる症状があるそうですね。そうだったのかあ!というくらい思い当たる節あり、です。マスクでバレエのお稽古した日の夜など、頭痛率高いです。マスクしたまま運動するなんて、考えたら異常ですよね。人類史上初なのではないでしょうか。そんなことをしていて身体に良いとはとても思えません。オリパラで活躍されたアスリートの皆さんは、どうやってマスクでの練習をこなしていたのでしょう。大変だったでしょうねー。

 マスクをするのは具合が悪い時だけ、な世の中が待ち焦がれます。マスクの話になると結局こういう結論に達してしまいます。

 次回は最終回。近日中に。
posted by juppo at 23:10| Comment(0) | 宇治拾遺物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする