御前(おまえ)の庭を掃くとて、『などや苦しきめを見るらむ。わが国に七つ三つ作り据えたる酒壺(さかつぼ)に、さし渡したる直柄(ひたえ)の瓢(ひさご)の、南風吹けば北になびき、北風吹けば南になびき、西吹けば東になびき、東吹けば西になびくを見で、かくてあるよ』と、ひとりごちつぶやきけるを、その時、帝の御女(みむすめ)、いみじうかしづかれたまふ、ただひとり御簾(みす)の際(きわ)に立ち出でたまひて、柱に寄りかかりて御覧ずるに、この男のかくひとりごつを、いとあはれに、いかなる瓢の、いかになびくならむと、いみじうゆかしくおぼされければ、御簾をおしあげて、『あの男、こち寄れ。』と召しければ、

〈juppo〉昨日、一度この記事を投稿したのですが、画像のUPがうまくいかずに、消去してしまいました。そんなドタバタの最中に訪問してくださった方がもしいたら、申し訳ありません。
この男は竹芝の地にいた時に、酒を作って暮らしていたのですね。その生活が、ただのんびりひしゃくを眺めているだけで、平和だったなぁ〜と、思い出している訳です。
「直柄の瓢」は二つに割ったヒョウタンに柄をつけて、ひしゃくの代わりにしたものだそうです。
平穏な生活を思い出していただけのひとりごとに、やんごとない身分のお姫さまが興味を示したことから、物語は急展開します。まだまだ、続きます。


